日本の伝統色を身にまとう|着物・ドレス選びに活かす「和の色彩」ガイド

「皇室と石川」展で展示された装束や工芸品を見て、その色彩の豊かさに心を奪われた方も多いのではないでしょうか。日本には古来より、四季折々の自然から抽出された数千種類もの「伝統色(和色)」が存在します。これらは、単なる色の名前ではなく、日本人の美意識や自然観が凝縮された文化遺産です。

西洋の色彩感覚が原色をベースとした鮮やかさを特徴とするなら、日本の色彩は「中間色」や「くすみカラー」にその真骨頂があります。この繊細な色合いは、実は日本人の肌色や黒髪と非常に相性が良く、現代のパーティードレスや着物選びに取り入れることで、知的で上品な印象を演出することができます。本記事では、大人の女性が特別な日の装いに取り入れたい「和の色彩」とその活用術をご紹介します。

目次

パーティードレスに取り入れたい「和名」の色

レンタルドレスを選ぶ際、つい無難な「黒」や「ネイビー」ばかり選んでしまっていませんか?もちろんベーシックカラーは安心ですが、せっかくのハレの日には、日本の伝統色を意識したカラーチョイスで、周囲と差をつけるのも素敵です。和名の色は、名前の響きそのものが美しく、会話のきっかけにもなります。

濃藍、撫子、利休鼠…奥ゆかしく知的な色の選び方

例えば、深い青色を選ぶなら「ロイヤルブルー」も素敵ですが、あえて**「濃藍(こいあい)」「瑠璃色(るりいろ)」**と呼べるような深みのある色を選んでみましょう。これらは肌の白さを際立たせ、凛とした知性を感じさせます。

ピンク系なら、幼くなりがちなパステルピンクではなく、**「撫子色(なでしこいろ)」「灰桜(はいざくら)」のような、少しグレーがかった落ち着いたピンクを。大人の女性ならではの可愛らしさと包容力を表現できます。また、グレー系でおすすめなのが「利休鼠(りきゅうねず)」**です。緑みを帯びたグレーで、茶人・千利休が好んだとされるこの色は、控えめながらも究極の洒落色とされ、どんなアクセサリーとも喧嘩せず、洗練された雰囲気を醸し出します。こうしたニュアンスカラーは、海外ブランドのドレスにはない、日本独自の染色技術や感性から生まれるものです。

日本人の肌色を美しく見せる伝統色のマジック

日本人の肌(イエローベースやブルーベースに関わらず)には、わずかに黄みやグレーを含んだ色が馴染みやすいと言われています。真っ白な「ピュアホワイト」よりも、生成り色の**「卯の花色(うのはないろ)」の方が顔色が明るく見えたり、鮮烈な「レッド」よりも、少し朱が入った「茜色(あかねいろ)」**の方が華やかに映えたりするのはそのためです。

レンタルサイトの画像を見る際も、単に「赤」「青」と判断するのではなく、「これは**韓紅(からくれない)に近い色か」「これは常磐色(ときわいろ)**か」といった視点で見てみると、自分に似合う色が探しやすくなります。伝統色は、日本人の色素を知り尽くした先人たちが長い時間をかけて選び抜いた色なので、失敗が少ない「鉄板カラー」とも言えるのです。

季節感を演出するコーディネートの極意

前述の記事(記事4)で触れた「襲(かさね)の色目」のように、季節感を服装に取り入れることは、日本人のおしゃれの基本であり奥義です。その時期に咲く花や、風景の色を身にまとうことは、一緒に過ごす相手に対して「今の季節を共に楽しみましょう」という挨拶代わりになります。

春の桜、秋の紅葉など自然と呼応するスタイリング

春(3月〜4月)の結婚式やパーティーなら、やはり桜をイメージさせる色が喜ばれます。**「桜色」のドレスはもちろん、「若草色」「萌黄(もえぎ)」**といった新緑の色も、春の訪れを感じさせて爽やかです。

秋(9月〜11月)なら、紅葉を思わせる**「紅赤(べにあか)」や、イチョウのような「山吹色」、あるいは熟した葡萄のような「葡萄染(えびぞめ)」といった深みのある色が最適です。夏には涼しげな「水浅葱(みずあさぎ)」、冬には雪景色に映える「椿色」や、常緑樹の「千歳緑(ちとせみどり)」**など、四季の情景をドレスの色で表現することで、装いに物語性が生まれます。レンタルなら、購入するには勇気がいるような季節限定の色も気軽に挑戦できるのが大きなメリットです。

小物やアクセサリーで効かせる和のエッセンス

ドレス本体で色を取り入れるのが難しい場合は、バッグや靴、ショールなどの小物で「差し色」として和の色を使うのが上級テクニックです。例えば、ネイビーのシンプルなドレスに、**「辛子色(からしいろ)」のショールを羽織る。あるいは、ベージュのドレスに「紫苑色(しおんいろ)」**のバッグを合わせる。これだけで、ぐっとモダンで和の情緒を感じさせるコーディネートになります。

着物の帯締めを選ぶ感覚で、ドレスのウエストリボンやアクセサリーの色を選んでみる。洋装であっても、その配色の根底に和の色彩感覚があれば、不思議と品格が漂います。これは「皇室と石川」展で見た、和洋が調和した皇室ファッションの精神にも通じるものです。

色彩が持つ物語を身にまとい、個性を表現する

伝統色には、それぞれ由来や意味があります。例えば**「紫」は古来より最高位の色とされ、高貴さや神秘性の象徴です。「勝色(かちいろ)」**と呼ばれる濃い藍色は、武士たちが「勝つ」にかけて愛用した縁起の良い色です。

言葉にしなくても伝わる、色に託されたメッセージ

友人のスピーチを頼まれた結婚式なら、信頼や誠実さを表す**「青」「藍」系のドレスを選ぶ。出産を控えた友人のパーティーなら、生命力や太陽を感じさせる「橙(だいだい)」「杏色(あんずいろ)」**を選ぶ。このように、色に託された意味を知り、自分の気持ちや役割に合わせて色を選ぶことは、言葉以上に雄弁なコミュニケーションとなります。

「そのドレス、素敵な色ね」と褒められた時に、「これは『言の葉色』と言って、言葉を大切にするという意味があるんですよ」と返せたら、そこから会話が弾み、あなたの知的な魅力も伝わるでしょう。

流行に左右されない、教養ある大人の色選び

トレンドカラーは毎年のように変わりますが、日本の伝統色は数百年、一千年という時を超えて愛され続けてきた色です。流行り廃りとは無縁の「普遍的な美しさ」を持っています。

流行を追うのもファッションの楽しみですが、ここぞという大切な場面では、伝統色を味方につけた装いを選んでみてはいかがでしょうか。それは、日本の文化を大切にする教養ある大人の女性としての自信を与えてくれます。洋服レンタルサービスの中には、こうした色味にこだわったラインナップを揃えているところも増えています。検索フィルタで色を選ぶ際、ぜひ和の名前を思い浮かべながら、運命の一着を探してみてください。

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